観光地に続々登場! 外国人増加でできた期間限定のレア標識 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

観光地に続々登場! 外国人増加でできた期間限定のレア標識

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第7回:道路標識もグローバルの時代

新標識を求めて港区・青山へ

 筆者は東京に行っても秋葉原だの神保町だのにしか寄り付かない方なので、青山などは久方ぶりである。ハロウィンに浮かれる街を、標識を求めて歩き回るおっさん一人。強烈なアウェイ感が、物理的圧力と化して押し寄せてくるかのようである。

 しばしさまよったが、「STOP」入りどころか普通の一時停止標識すら見当たらない。青山というのは聞き違いだったか……と悩んだその時、一時停止なのだから表通りにあるわけはなく、狭い裏道にしかないのではないかと気づいた。このあたり我ながら愚鈍という他はない。

 というわけで裏の路地に入りこんでみると、表通りの華やかな姿とは一転し、昭和の香り漂う古いアパートや児童公園が並んでいる。このへんが、東京という街の面白さ……などと考える筆者の前に、ふと一枚の「一時停止」標識が現れた。

 これは何ともいえず渋い。現在の「一時停止」標識は隅が丸く面取りされているが、おいらのとこじゃそんな配慮はしてねえなとばかりに、手に突き刺さりそうなほど尖っている。半世紀は経過していそうなたたずまいだが、さてこれがモダンな「STOP」入りに取り替えられるのはいつの日だろうか。

 だが目的のブツは見当たらない、しゃあない引き上げるか……と思った瞬間、南青山三丁目交差点近く、外苑西通り沿いでそれは目の前に現れた。ガッツポーズしたくなる心を抑え、ゲットしたのが下の写真である。

 おそらくは設置されたてホヤホヤの標識である。真っ赤な色合いとスマートな英字フォントが、瀟洒な街並みにもよく似合う。今はまだ珍しいが、すぐこちらが増えていくことだろう。期間限定のレア標識である。観光地や空港周辺を優先的に取り替えていくとのことなので、興味のある方は探してみてはいかがだろうか。

 となるともう一方の、新型「徐行」標識も拝んでみたいところだが、こちらははるかにレア度が高く、発見は手こずりそうだ。もし見かけたら、筆者宛にご一報をいただければ幸いである。

KEYWORDS:

オススメ記事

佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


この著者の記事一覧